2021年7月29日木曜日

米国株の相続

当事務所で、お問い合わせが多いのが、米国株の相続や解約、そして未請求資産(Unclaimed Property)になってしまった米国株に関してのことです。米国株といえば、昨今FIREで盛り上がっていますね。保有しようと思っている方も、保有している方も増えているのではないでしょうか?

米国株であっても、米国株の取り扱いのある日本の証券会社の口座で保有している場合は、特段の問題はありません。日本の証券会社での手続となります。しかし、問題となるのは、米国の金融機関の口座に米国株式があり、それを相続したり、解約(売却)したりする場合です。


米国の証券会社(例えば、モルガンスタンレー等)の口座に米国株式がある場合は、基本的に、米国方式での相続手続を要求されます。また、資産の額によっても、その手続が変わってきますので、一概に、「こうなります」ということができません。

先方も、「日本の相続手続は、米国の手続とは違うんだろうな…」ということは分かっていて、多少の譲歩はしてくださいますが、それでも、大概、米国での方式に沿って、手続する方向に落ち着きます。正直なところ、そのほうが早く、そしてスムーズに進みます。

日本のやり方をゴリ押しして、そのときの担当者は承諾してくれたが、途中で担当者が変わって違うことを言われたり、やり直しになってしまうと、比較的時間を要する手続ですので、やり直しのダメージが、かなり大きくなってしまいます。特に、ご相続人の状況が変わってしまう可能性が高いケースでは慎重に検討する必要があります。


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2021年3月22日月曜日

米国人の相続

米国人の相続

当事務所では、日本人(日本国籍)の方のみではなく、米国人(米国籍を持つの方)のご相続手続を行うことがあります。遺言がある場合もありますが、遺言が遺されていない場合もあります。




日本で死亡した米国人の場合


米国人の方が、日本や海外に金融資産や不動産などの財産を残して、日本でお亡くなりになることがあります。

アメリカでは、国というより、州ごとに法律が異なりますので、どの州の法律が適用されて、その州の法律はどのようなものか、を確認する必要があります。その州の法律を確認したところ、相続手続には、結果的に日本の法律に従う、という場合もあり得ます。

プロベイト(Probate)が必要になる場合は、どの法律が適用されるかが判明した後に、どこの州の家庭裁判所でプロベイト(Probate)手続ができるかを確認する必要もあります。

また、誰が相続人か、ということを調べる必要もありますが、米国籍の方は、日本の戸籍には載っていません。戸籍制度がある日本とは異なり、公的書面を取得すれば、相続人が誰かが分かる、というものではありません。相続人が誰か、を戸籍以外の書類で証明する必要もあります。

日本国内の日本人のみで完了する相続とは、かなり勝手が違ってきます。


遺言がある場合


米国人が既に米国で作成していた遺言が残されている場合もあります。遺言に記載されている内容を確認しなければ正確なことは言えませんが、外国で作成した遺言が日本で全く使えない、ということはありません。

もちろん、日本での手続の場合は、日本の金融機関などが、いつも見慣れている日本語の公正証書のほうがスムーズに手続きが行えることは間違いないでしょう。そのため、日本にご資産がある場合は、生前に公正証書遺言を作成しておいたほうがよいといえます。

世界各国国に資産が点在しており、相続に備えて複数の国で、別々に遺言を残すことも可能ですが、撤回する場合など、それらに齟齬が生じないように慎重に計画・作成することが必要となってきます。


信託(トラスト)がある場合


日本でも信託制度があり、最近はよく耳にするようになってきましたが、米国では、プロベイトといわれる手続を回避するため等、信託(トラスト)がよく利用されています。実際に、ご相続にあたり、トラストの証書を目にすることがあります。外国で作成されたトラストも、日本で使えないということはありません。


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2021年3月1日月曜日

e-signature guarantee:メダリオン署名保証(Medallion Signature Guarantee) の電子付与について調べてみました

e-signature guarantee:電子メダリオン署名保証 (Medallion Signature Guarantee) の電子付与について調べてみました


米国の株式の名義変更の際などに求められるメダリオン署名保証(Medallion Signature Guarantee)と呼ばれる本人確認の証明についてですが(詳しくはこちらの記事をご参照ください→メダリオン署名保証とは?)、e-signature guaranteeというものがあるようです。

電子的にメダリオン署名保証(Medallion Signature Guarantee)を付与してくれるサービスである、とのことで、調べてみました。




e-signature guaranteeとは?


e-signature guaranteeとは、米国のsignature guarantee groupという組織で提供しているもののようです。(サイトはこちら→e-signature guarantee

日本に居ながらにして、米国の金融機関の窓口へ赴かずに、電子的にローコストでメダリオン署名保証(Medallion Signature Guarantee)が取得できれば大変便利ですね。

e-signature guaranteeのブログ記事には、2018年には米国非居住者向けにもサービスを展開するようなことも書いてありました。


日本でe-signature guaranteeが利用できるのか?


日本人で、米国を訪れることなく、このサービスを利用できるとしたら、とても便利なので、日本人でも利用できるかどうか確認してみました。

しかし、アカウントを作ろうとして、メールアドレスとパスワードを入力した次の画面で、

「I am a US Citizen」 

という、一択のチェックボックスがありました(下↓画像参照)。その他の選択肢はないので、US Citizen、つまり、米国市民権が無い人は利用できないようです。

確かに、US Citizenであれば、日本在住でも利用できる可能性はあるのかもしれませんが、残念ながら、今のところは、米国市民権を有しない日本人は、利用できないサービスのようです。




お問い合わせ(Contact)で聞いてみようかと お問い合わせ(Contact)の項目を入力しましたが、上手く送信ができませんでした。問い合わせでコンタクトができないサービスを利用するのは、少々気が引けますね。

とはいえ、今後サービスが広がる可能性もありますので、引き続きチェックしていきたいと思います。


■ メダリオン署名保証(Medallion Signature Guarantee)の取得に関して相談したい


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2021年2月14日日曜日

米国株式のTransfer agentとは

米国株式のTransfer agentとは

米国Unclaimed Property(未請求資産)の手続を進めていると、US Broker(米国証券会社)の名称や、DTC番号等の情報を教えてください、という追加連絡を受け取ることがあります。

このような追加連絡がくる理由として、以下2つが考えられます。

理由1) 日本への資産返還を小切手の払い出しではなく、その証券を保有していた元の金融機関に、証券を戻すこと希望した

理由2) 当初、州へ提出したClaim form(返還申請書)に、資産返還の方法を明記していなかった

州の担当者が、州へUnclaimed Propertyとして移管された米国株式等の証券を売却したいのか、それとも元の証券会社へ戻して、もう一度運用したいのかを確認してくれているということでしょう。




ComputershareはUS brokerに該当しない


Computershareという会社に保有していた株式が、Unclaimed Propertyとして米国の州へ移管されたというケースをたびたび取り扱っています。しかし、Computershareは、Transfer agent であり、US brokerではないため、Computershareに株式などの証券を元通りに戻してもらうということはできないようです。

Computershareに株式を保有しており、それが州に移管された場合については、アメリカの証券会社に自己名義の口座を保有していない限り、小切手で日本に返還されることになります。
現在、外国小切手を取り扱っている金融機関は限られていますので、本当ならば、小切手での受領は避けたいところです。ただし、選択肢が無い場合は、外国小切手で受領し、日本の金融機関で換金するということになります。

<※海外小切手については、こちらの記事もご参照ください>

Transfer agent(トランスファー・エージェント)とは?


Transfer agent(トランスファー・エージェント)といえば、Computershareを思い浮かべる人が多いようです。Transfer agentを日本語で言うとすれば、証券名義書換会社といったところでしょうか。一方、Brokerage form は、証券会社のことを指します。

Transfer agentには、主に3つの役割があるようです。
1.証券の所有権の変更を記録すること。
2.企業と株主等との間の仲介者として機能すること。例えば、証券名義人への利息や配当金の分配など。また、株主総会等の書類を送付すること。
3.破損・盗難・紛失した債券の管理。例えば、このような証券の名義変更を一時ストップさせることができます。

Lost security(紛失証券)


過去に、証券を紛失してしまった方のLost securityに関する手続を支援したことがあります。証券が紙で発行されていた場合には、名義変更時に証券原本の提出を求められます。証券の原本を提出することができないときには、Lost security(紛失証券)の手続をとる必要があります。


参考記事:Stock Transfer Agent vs Brokerage firm
https://www.brokerage-review.com/expert/self-directed-vs-managed/brokerage-firm-vs-transfer-agent.aspx


Computershareで保有している株式に関する相続手続や書類作成について相談したい


以下のご相談受付のページよりご連絡ください。

海外のキーパーソン・弁護士/会計事務所のご紹介や通信代行、書類翻訳、進め方についての各種コンサルティングが可能です。海外の方との連絡はご自身で対応するが、その対応についてのアドバイスのみほしいというケースにも対応しております。

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2020年11月20日金曜日

日本の公証(Notarization)とアメリカの公証(Notarization)の違い

昨年のことです。海外遺産のご相続に必要な書類に公証(Notarization)を取得する必要がでてきました。海外の遺産相続には、必ず付き物なのが「公証手続」です。

実は、アメリカでの「公証」に対する認識と、日本でいう「公証」に対する認識は異なる部分があります。
簡単に言えば、アメリカで公証といえば、(語弊があるかもしれませんが)比較的カジュアルな印象であり、市民生活の中に馴染みがある行為といったところでしょうか。一方、日本では、公証というと、あまり日常的には行われない行為であり、少し敷居が高く馴染みがない行為というように感じます。




日本の印鑑文化と公証


なぜ日本では公証という行為に馴染みがないか、というと、ひとつの理由として、日本では押印文化が根付いていることも挙げられるかもしれません。

印鑑登録という制度もあり、本人作成の書類であるということは、印鑑を持って証明することができます。そのため、わざわざ、手書きの署名を第三者が証明する、といった手続が必要ないから、というわけです。

2020年現在、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、押印廃止、書類の電子化を進めるなどの流れが加速しているようですが、印鑑には、日本における書類作成を便利にしてきた側面があると思います。

なぜなら、もし印鑑が無ければ、本人作成書類ということは、欧米と同様に署名で証明する必要があり、「その署名が本人のものである」ということを証明するための制度や仕組み、が必要となってくるからです。

アメリカでは、銀行で、その銀行と一定の取引がある顧客であれば、その顧客の署名を保証するサービスも提供しているところもありますし、Medallion Guarantee Signature(メダリオン署名保証)などというものもあります。(これまた日本在住の人にはやっかいな制度ですが…)要するに、欧米におけるこれらの署名を保証する制度は、印鑑が無い故に発展してきた制度なのかと思われます。

「その書類の署名が本人のものである」ということを証明する必要が無く、自治体で数百円で取得できる印鑑登録証明書などで本人作成書類であることが証明できるのは、こう考えてみると、便利な制度ですね。
まあ、すべてオンライン化になっていくのであれば、セキュリティが担保される限り、オンライン署名というのでしょうか、それが一番便利なのではと思いますが…。

印鑑についての話は長くなってしまいますので、話を元に戻します。

日本の公証とアメリカの公証の違いがどこからくるものか、ということについては、印鑑文化の有無以外には、日本の公証制度が、もともと大陸法由来のものであり、英米法由来のアメリカ等の公証とはとらえ方が違う、ということもあると、随分前に公証人の先生からお聞きしたこともあります。
(その先生は『格式が違う』という言い方をしておられました。)

アメリカのオンライン公証


海外の遺産相続を進めていたとき、海外での手続を担当しているアメリカの弁護士と、日本での公証は、アメリカでの公証手続を行うより、料金も高く、個人にも馴染みがない…などと、話をしていたところ(つまり、私としては、お客様にご負担いただく費用が嵩んでいくため、気軽に公証を求めないでほしいという意図もあったので…)、
「それだったら、アメリカの〇〇州ではオンラインで公証することが可能になったので、オンラインでやってみますか」
という提案をいただきました。

おそらく、私が、「日本での公証には費用がけっこうかかるし、一般には馴染みがないものなんですよね」と伝えたことを受けて、アメリカではそれに比べて安価であるし…、ということでの提案であったかと思います。
ありがたいことですが、時差があること、言語の壁があること、そして、高齢のご相続人様がオンラインで対応すること諸々を加味し、やはり日本で公証を取得することにしました。

しかし、もし、日本にいながらにして、オンラインでアメリカで公証が取れたら、便利ですね。もし機会があればトライしてみたいところです。

公証(Notarization)手続や書類作成について相談したい


もし、海外に資産を残してお亡くなりになった方の遺産相続の場合など、公証(Notarization)を求められた場合には、是非ご相談ください。
※ただし、当事務所では公証自体を付与することはできません。公証取得支援を行います。
※行政書士による認証についてはご提供可能です。

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2020年9月15日火曜日

アメリカのUnclaimed Property 未請求資産を保有していたことを証明する書類とは

Unclaimed Property(未請求資産)を保有していたことを証明する書類とは?


最近、Unclaimed Property(未請求資産)の解除申請の件で、アメリカの州政府から追加で書類提出を要求されるケースがありました。

追加書類の提出を要求されるというのは、よくあることなのですが、さらによくあることとして、必要のない追加書類まで要求される、というケースです。

何らかの誤解や、(おそらく文化の違いによる)理解不足により、既に提出済の書類で十分であるにもかかわらず、同様の書類を更に提出してくれ、といわれることがあります。

このような件では、先方に、既に提出した書類で十分である旨を丁寧に説明し、追加書類の提出は免れるようにしたいところです。

先方の言うがままに対応していると、必要のない書類まで、次から次へと相手に渡してしまうことになります。個人情報を含む書類に関しては、不必要な情報は極力相手へ出さない方針で、対応したほうがよいと考えています。




ビジネスをしていたことを証明する書類って?


さて、本題に入りますが、Unclaimed Property(未請求資産)の解除申請において、どの州の件でも必要となってくるのが、Unclaimed Property(未請求資産)を保有していたことを証明する書類です。

それは、例えば、資産を保有していた金融機関から発行されたステートメント(statement)と呼ばれる残高明細書や、それに類する書類のことです。金融機関のレターヘッドや、担当者の署名の付いたものであれば、何らかのレター(手紙)でも問題ないはずです。ご自身が、州に資産が移管されたことを知った時の通知なども該当する可能性があります。

この書類について、アメリカ州政府のOffice of Unclaimed Property(未請求資産事務所)のインストラクションをぱっと見ただけでは何のことか分からないというご質問をいただくことがあります。

例えば、以下のような指示です。

Documentation that you did business with the company listed in Section A. Such as a statement, stock certificate or correspondence from the company regarding your account at or before time of escheatment.

これは、Unclaimed Property(未請求資産)を保有していたことを証明する書類、すなわちステートメント(Statement、残高明細書)等が提出書類である、という指示です。

紙でお持ちの方もいらっしゃいますが、最近ではオンライン上でしか入手できないこともあります。オンライン上でしか入手できない場合にでも、それにしかるべき証明を付して利用することが可能です。

また、既にUnclaimed Propertyとして金融機関から州に移管されている場合、バランス(残高)はゼロになっていることがありますが、残高ゼロのステートメントでも利用は可能です。要するに、ご自身名義のご資産が、その金融機関で保有されていたこと、が証明できればよいわけです。

ステートメント(Statement)はどのように手にいれる?


ステートメント(Statement)の入手方法に関しては、以下の方法が考えられます。

●もともと資産を保有していた金融機関でオンラインで入手できる場合は、オンラインで入手する。(オンラインで取引ができるアカウントやパスワード等をお持ちの場合)

●もともと資産を保有していた金融機関に依頼して郵送してもらう。

●定期的に送付されてくる紙のステートメントが手元にあれば、それを利用する。

できれば最新のものが望ましいですが、その金融機関に資産があったことを証明できるようであれば、いつ発行されたものでも受け付けてもらえるようです。
名義人名、住所、口座番号が記載してあり、金融機関のレターヘッド付きの用紙に印刷してあるということなどを確認しましょう。

ステートメント(Statement)で確認するポイント


ご自身が保有しているステートメント(Statement)で確認する点は、ご住所やお名前が、現在のものと同じかどうか、という点です。
ステートメント(Statement)記載のご住所が、引っ越し前のご住所であったり、姓が変わる前のものであった場合は、追加で書類が必要となる可能性があります。


<<参考記事>>

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具体的なサポート内容は↓↓↓
未請求資産請求サポートのページ

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2020年6月28日日曜日

国際ロマンス詐欺にご注意を

海外の遺産相続を手伝ってください、という国際ロマンス詐欺?


2020年6月11日か12日頃、夕刊の一面に何気なく視線を向けたところ、「国際ロマンス詐欺」という見出しが目に入りました。その内容は、以下のリンク先の記事のようなものでした。

神戸新聞(※私が見た新聞は、神戸新聞ではありませんが…便宜上、リンクを引用させていただきました。)

国際ロマンス…ではありませんが、海外相続を持ち出すメール詐欺というと、海外から突然メールがきて、「我が国の身分の高い方がお亡くなりになって、遺産を何億も残している。その受け取りを手伝えば、遺産の一部をあなたにも分け与える」とか、
「あなたの姓(名字)は、亡くなった資産家が生前に指定した姓であり、あなたに多額の資産を相続させたいので、コンタクト先を教えてほしい…」とかいうものがあります。

よくもまあ、こんなストーリーを思いつくなあと思いますし、もし本当にそんなことがあったら凄いなと思いますが、100%詐欺です。多くの方々がそうしているように、一切関知せず、見てしまった場合は、ただちに削除しましょう。


普通の海外の相続手続と違い、違和感を感じるところ


例えば、海外の相続で困っている恋人(外国人)から、「相続に関して海外の裁判所や公的な機関で手続が進んでいて、その手続のために実費が必要だから、送金してほしい」といわれ、それが1度きりではなく、何度か送金してほしいという要求があった、というような場合。

まず、海外の裁判所で相続の手続が進んでいる場合…一般的には、何らかの弁護士事務所等の法律事務所が、依頼人(相続人)から委任を受けて手続をしているはずです。ですから、まずはその弁護士事務所はどこにあって、担当弁護士は誰か、が気になります。

ただ、「弁護士事務所はここで、担当はXXXXで、ライセンスカードはこれです」というように、至極まっとうにみえる返信があったとしても、安心はできません。

なぜなら、そのような書類は簡単に偽造できるからです。手にとって原本をまじまじと見るならまだしも、オンライン上では、本物かどうか見分けることは非常に難しいでしょう。

また、弁護士が本物かどうか、ということより、私がもっと違和感を感じる点は、相続の手続の途中で、実費が必要になったから、ということで複数回にわたり送金を求める、というところです。ゼロとは言い切れませんが、たびたび送金が必要となること自体が、海外の相続手続では考えにくい、ということです。

なぜなら、そういった費用は、必要となった都度相続人から支払いを求めるというよりは、最終的に遺産から精算する方法がとられるからです。私の経験上、ヨーロッパ、アジア、アメリカ、オセアニア、どの国の弁護士も、もちろん、日本も、専門家報酬や費用は、遺産が解約されたら、その時点で精算し、経費清算後の遺産の額を相続人宛に送金する、という方法をとるからです。

もちろん、最初に弁護士事務所に手続をお願いするときに着手金として1回送金するというのは十分にあり得ますが、その後も何回もたびたび送金が必要となるというケースは、考えにくいというのが正直なところです。

というわけで、恋人が、相続手続で、たびたび送金を求めるというのは、考えにくいですし、そのうえ、遺産相続という話になると、その性質上、金額も多額になりがちです。どんなに心を惹かれている相手であったとしても、金銭を送金してほしいという要求については、一旦立ち止まって、落ち着いて考えていただくのがよいと思います。

例えば、SNSを介してお付き合いを初めて、数か月も経たないうちに、海外の遺産相続の話がでてくるという場合。人の生死は分からないものですから、そのようなケースもあるのかもしれない、とは思います。しかし、金銭を送金してほしいという要求については、とにかく冷静に考えていただく必要があるのではないかと思います。
上述のように、通常、相続手続の「途中」で、たびたび相続人から支払いが必要となるというケースは稀(というか、ほぼ無い)だからです。

お困りのときは、早急に国民生活センター、警察などへのご相談をおすすめします。

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