2019年4月15日月曜日

Transfer Certificate(トランスファー・サーティフィケート)とは?

海外の遺産相続に必要な書類シリーズ:Transfer Certificate(トランスファー・サーティフィケート)とは?


やっと桜が咲き、花粉(杉)の季節が過ぎ去ろうとしています。夏に向かうこれからの季節は、日本の四季の中でも一番よい季節かもしれませんね。

このような清々しい季節がまた廻ってきたかと思うと同時に、去年の初夏にアメリカのInternal Revenue Service(IRS:内国歳入庁と訳されています)に、アメリカの会計士さんにお願いして申請したTransfer Certificateがそろそろ届くころではないか、と待ちくたびれています…。(かなり時間がかかる手続なので、しょうがありませんが)
(※2020年追記:こちらの件は無事にTransfer Certificateが発行されました😀。時間かかりましたね…。)

そういえば、今年の冬、日本のNHKニュースにアメリカのIRSの建物が映っていたのを偶然見る機会がありました。建物を目にしたのは初めてでしたので、少し感動を覚えましたが、その内容は、例のトランプ政権の諸々で、職員がストライキをおこし、手続が遅延しているというニュースでした。その影響が響いていないことを祈るばかりです。

※Internal Revenue Service(IRS:内国歳入庁)は、税金の徴収と税法の執行を担うアメリカの政府機関です。



Transfer Certificateとは?


さて、Federal Transfer Certificate(トランスファー・サーティフィケート:日本語での訳は、検索した限り見つけることができませんでしたが…譲渡証明書、といった感じでしょうか。)は、アメリカでの遺産相続に際し、1976年12月31日以降に死亡した方(被相続人:decedent)の相続について要求されるようになった税務関係の証明書です。
対象は、アメリカ居住ではなく、かつ、アメリカ市民ではない方が被相続人(死亡した人)である場合です。

ご興味のある方は、IRSのサイトを↓
https://www.irs.gov/businesses/small-businesses-self-employed/transfer-certificate-filing-requirements-for-non-us-citizens

どのようなケースでTransfer Certificateを要求されるのか


どのようなケースにおいても、このTransfer Certificateを要求されるかといえば、そういうわけでもありません。ケースごとに、確認が必要となります。例えば、アメリカで遺産の執行人が選任されている場合や、金融機関の内規などにより免除される場合には不要です。

アメリカの金融機関からの手紙の常ですが、「Transfer Certificate(トランスファー・サーティフィケート)を取得せよ」、という文言が自動的に記載されてしまっている場合があります。
その件に本当に必要かどうか、先方の機関の担当者が精査することなく、自動的に文言が掲載されて手紙やメールが来ることがあります。(けっこう、しょっちゅう、そういうことがあります。)
余分な手間をかけないように、本当にその書類が必要かどうか、まずは、いったん先方に確認したほうがよいでしょう。

Transfer Certificateには何が記載されているのか


発行されたTransfer Certificate(トランスファー・サーティフィケート)には、いったい何が記載されているでしょうか。私が知る限り、それは簡素な書類です。

Form番号と、Transfer Certificateというタイトルが書類の冒頭に記載されています。また、誰の遺産であるか、ということと、亡くなられた方の死亡日が記載され、その後、発行元の証明文が記載されています。
書類下部には、発行日や責任者の署名が記載されています。

Transfer Certificateの取得にはどのくらいの期間がかかるのか


Transfer Certificate(トランスファー・サーティフィケート)の申請をしてから発行までにかかる期間については、公式な発表もあるものの、その発行元であるアメリカのInternal Revenue Service(IRS:内国歳入庁)の処理状況によっては、かなりの時間がかかる場合があります。例えば1年、2年後に発行、というようなことも十分にあり得ます。

ただ、きちんと手続をし、定期的に催促をかけていれば、いずれ発行されるもののようです。しかし、取得までに時間がかかることは、申請時に覚悟しておいたほうがよいでしょう。

発行まで何年も待つのは嫌だということで、IRSにTransfer Certificateの申請を行わずに、米国資産の処理を進めてしまった方もいるようですが、これはあまりお勧めできません。

遺産が海外の資産、特に米国の資産を保有している場合、相続にあたっては、相続に必要となるすべての要件をしっかり調査しておくことが必要です。要件を無視したり、タックス・クリアランス(Transfer Certificateの手続)をしなかったりすると、手続の進行について深刻な影響を受ける可能性があります。

Transfer Certificateの申請は専門家ではなくとも可能なのか?


例えば、お亡くなりになった方の配偶者やお子様等が、専門家を介せず、直接、遺産が残されている証券会社とやりとりをされていることがあります。

手続が進む中で、「Transfer Certificateを提出せよ」などと指示があり、自分で出来るかどうか、調べている方もいらっしゃるかもしれません。
上記でご紹介させていただいたIRSのリンク中に、提出が必要な書類が列挙されておりますので、そこで確認することは絶対に不可能とは言い切れないかと思います。

しかし、「これは自分のケースに該当するのか?」といったことや、「ここはどう記載したらよいのだろう?」という疑問が、書類作成時には、湧いてくるものです。

そのような疑問が発生した都度、アメリカのIRSに問い合わせて確認したいと思うかもしれませんが、IRSという外国の政府機関への国際電話は、(様々な方面から得られた情報に基づく私見ですが)永遠につながらないといっても過言ではないでしょう。
とりあえず…の状態で提出した場合に、情報の不足や書類追加提出等が発生すると、通常でも恐ろしく時間のかかる手続が、更に恐ろしく時間がかかることとなってしまいます。
また、1年、2年近く書類の発行を待っていると、「IRSに忘れ去られてしまったのではないか」と段々不安になってきます。

私の事務所への依頼を勧めるわけではありませんが、もし、Transfer Certificateの取得が必要と判明した場合には、適時に的確に対応してもらえる専門家へ依頼することをお勧めいたします。

(笹山)最終更新:2022年3月

Transfer Certificateの取得手続や書類作成について相談したい


もし、海外に資産を残してお亡くなりになった方の遺産相続について、Transfer Certificateを取得しなければならない場合には、ご相談ください。
※毎年2月~3月の時期は、米国会計事務所のタックスシーズンにあたり、お引き受けできない場合がございますので、ご了承ください。

海外のキーパーソン・弁護士/会計事務所のご紹介や通信代行、書類翻訳、進め方についての各種コンサルティングが可能です。海外の方との連絡はご自身で対応するが、その対応についてのアドバイスのみほしいというケースにも対応しております。

心に不安やすっきりしない気持ちを抱えたままの状況から、
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