アメリカの相続と日本の相続の違い(2)法制度の違い
日本は、大陸法系の国です。世界には、大陸法(シビル・ロー)系の国と、英米法(コモン・ロー)系の国があり、日本は前者に属しています。
アメリカの相続では、法制度がそもそも異なることもあり、金融機関の担当者等との相互理解が難しいことが、ままあります。
◎大陸法(シビル・ロー):ローマ法が起源(日本、ドイツ、フランス等)
◎英米法(コモン・ロー):イギリスが起源(アメリカ、イギリス等)
そのうえ、アメリカは連邦制を採用しているので、それぞれの州ごとに独立した法律があります。弁護士についても、その州の資格を持っている弁護士ではないと裁判所での手続が難しいことがあります。アメリカに在住の弁護士なら誰にでも手続きをお願いできるわけでもありません。
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世界の相続制度は、包括承継主義と管理清算主義にも分けることができます。管理清算主義では、裁判所の関与が必要となるため時間や必要がかかります。
◎包括承継主義:相続開始とともに、亡くなった方の財産・債務が相続人に承継される(日本、ドイツ、イタリア等)
◎管理清算主義:相続が開始すると、亡くなった方の遺産はEstate(エステート※不動産ではありません)という遺産財団となり、裁判所が選任する遺言執行者や遺産管理人がその相続債務を清算し、残った財産を相続人に分配する(アメリカ、イギリス、オーストラリア、香港、シンガポール等)
(笹山)