2019年11月22日金曜日

海外資産については遺言を作成しておくべき

海外に資産があるときは遺言を作成しておくべき


ここ最近、アメリカを含め数か国の国際弁護士と話をする機会がありました。その際に、どの国際弁護士とも話題になったのが、海外の資産についての「遺言」のことについてです。遺言書(以下、遺言書、として統一して記載します)があるか無いかで、海外資産の相続の手続が変わってくるからです。

日本では、生前対策として、遺言書を遺す方もいらっしゃるとは思いますが、どちらかというと、遺言書を作成することなく、お亡くなりになる方が多いのではないかと思います。

実際に、2017年3月に行われた日本財団の調査によれば、60歳以上の人のうち、遺言書の作成に無関心な人は7割を超えているそうです。

さらに、その調査によると、遺言書の作成済の方は4.9%であり、無関心の方は72.6%だったとのこと。作成しない理由としては、「書くほどの財産を持っていないから」というのが最も多かったとのことです。遺族任せで問題ないと考える人も目立ったそうです。

一方、海外では、遺言を作成しておくことが、概ね一般的という国もあります。



話は海外からずれますが、遺言書というと、その「語感」から誤解をお持ちの方が多いかもしれません。私がここでいう「遺言書」は、亡くなった後の財産処分などについて伝える文書、のことです。もうすぐ亡くなりそうだから準備する、というものでも、死の間際だから準備する、というものでもありません。(場合によって、結果論的にそのような時期になることはあるかもしれませんが。)

私の亡くなった父のメモ帳に、「自分が亡くなるまで見ないように」というような一文が書いてあったページがありました。(父が亡くなった後、母から見せてもらいました。)
それは、どうやら、生前に父がしたためておいたもののようでした。そのページを開くと、「遺言」と書いてあり、そこには、数行ではありましたが家族への想いが綴られていました。それを目にしたときは、悲しく、でも、同時にあたたかい気持ちになりました。このような気持ちを文章で残しておくことは、遺された家族にとって、非常に意義深いことであると、実感しました。
しかし、これは私がここで説明している遺言書ではありませんでした。私の父がそうであったように、他の方も「遺言書」というものを同じように捉えているのかもしれません。

このように、人それぞれ「遺言書」に抱くイメージは異なるものですから、たまに、遺言書作成を勧められて気分を害してしまったという方の話を聞いたりします。別にもうすぐその方の死期が迫っていることを予見して相手が作成を勧めるわけではないでしょう。一般的な感覚として、もしもの事態に備えて、残された人が困らないように準備をしておいたほうがよい、というようなことなのではないかと思います。

ただ、誰かに遺言書の作成を勧めるというのは、相手が「遺言書」にどのようなイメージを持っているか分からない以上、誤解を招きかねない非常に勇気のいる言動であると私は思います。また、ご親族間のコミュニケーションが上手くいっていないご家族様の場合は、遺言書の作成を勧める裏に、ある一定の思惑があるという場合も、無いとはいい切れません。
そのため、遺言書は、冷静に、自分自身で自分の置かれた状況を見渡しながら自発的に準備をするものであると思います。そして、気になる点は必ず専門家に相談するとよいと思います。

海外に資産をお持ちの方の遺言書作成の注意点


前置きが非常に長くなりましたが、海外に資産をお持ちのかたの遺言書作成についてです。
日本人で、かつ、財産が日本のみにある場合には、日本でのみ通用する遺言書を作成しておけばよいことになりますし、場合によっては、上述の調査のとおり「遺族任せ」でも、ある程度は問題がなく進むこともあります。

しかし、海外に財産があった場合や、国籍が日本ではない方の場合では、遺言書を作成する際に、「自分の死後、間違いなく、遺産が、自分の意思どおりになるかどうか」をよく確認・検討しておく必要があります。

つまり、その財産の場所や亡くなる方の国籍によって、お亡くなりになった後の相続において、どの国の法律が適用されるかが異なってくるからです。

また、遺言書を法的に有効にするためには、どのようなことを書いておけばよいか、という点も慎重な検討が必要になってきます。海外では、書いておくべき条項がないと遺言自体が使えない、ということもあり得るからです。また、遺言書は遺してあっても、それを忠実に実行するのは非常に困難なものとなってしまうケースもあります。

その他、資産の種類や額によっては、税務に関しても一定の配慮が必要になってきます。

さらに、海外資産の所有の有無を問わず、遺言書を準備するだけで万全かどうかという点も検討したいところです。遺言書は「亡くなった後」に財産をどうしてほしいかという意思を伝える文書ですから、ご自身が生存している間については何もカバーされていません。

場合によっては、生きている間に認知症になった場合のリスクに備える任意後見(成年後見)や、死亡した後の家財の処分等(死後事務)に関しても検討をしておいたほうがよいケースもあるかもしれません。

海外の資産に関する遺言について相談したい


海外にご資産をお持ちの方の遺言作成に関するご相談については、専門の当事務所へ是非ご相談ください。まずは遺言を翻訳(英訳、和訳)して備えておきたいというご希望についても承ります。

その他、海外の弁護士事務所との通信代行、書類翻訳、進め方についての各種コンサルティングが可能です。海外の方との連絡はご自身で対応するが、その対応についてのアドバイスのみほしいというケースにも対応しております。

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