2026年1月6日火曜日

米国株 Statementの見方 ― DRIP(配当金再投資プラン)とは

米国のTransfer Agent(株式事務代行機関。Computershareなど)のStatementを確認していると、「DRIP」という記号が記載されていることがあります。

直近のケースでもDRIPによる株式の取得が見られたため、改めてその意義を確認してみました。

DRIPとは?

DRIPとは Dividend Reinvestment Plan の略で、日本語では「配当金再投資プラン」と呼ばれるものです。配当金を自動的に同一企業の株式の購入に充てる仕組みで、配当金を現金で受け取るのではなく、再投資することができます。

DRIPには、

・売買手数料が比較的低い

・配当を定期的に再投資するため、ドルコスト平均効果が期待できる

といったメリットがあり、長期保有を前提とした投資家にとっては便利な制度です。

(なお、残念ながら日本には、これと完全に同様の制度は存在しないようです。)


一方、DRIPを利用していない場合、配当金は通常、現金で支払われます。

実務上、故人が米国の金融機関を通じて米国株式を保有していた場合に、配当金の小切手が定期的に日本へ郵送されてきているものの、換金方法が分からず、そのまま未換金の小切手が溜まってしまっている、というケースを目にすることがあります。

そのような点を踏まえると、故人が生前にDRIP(配当金再投資プラン)に加入していた場合、相続手続の観点からは「ラッキーなケース」といえるかもしれません。


(笹山)

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2025年8月29日金曜日

W-8BENって何ですか? 日米租税条約の適用と米国非居住者であることの証明

米国の資産を相続する際、必ずといってよいほど提出を求められる書類の一つが、W-8BEN。

正式名称は、

“Certificate of Foreign Status of Beneficial Owner for United States Tax Withholding and Reporting (Individuals)”(訳:米国源泉徴収および報告のための受益者の非居住者証明書(個人用))です。


W-8BENとW-8BEN-E

提出する書類の種類は、相続人が「個人」で受け取る場合には、W-8BEN 。金融機関によっては、W-8BEN-E (Estateの場合)を提出といわれることもあり、いつでもW-8BENでOKというわけでもありません。


どの所得に対して、どのように適用されるのか

米国資産の相続の場面では、被相続人が保有していた金融機関口座のご資産を相続人が受け取る際、税務処理を行うためにこの書類が必要となります。提出が遅れると手続きに時間がかかるだけでなく、不要な税金が源泉徴収されるリスクもあります。

私はこの記事を作るために、W-8BEN に関する解説記事をインターネット上で検索してみましたが、重要な点が省かれていることが多い印象を受けました。

特に、

どの所得に対して、どのように適用されるのか

という点の説明が少ないように感じました。以下をご紹介できればと思います。

・配当(Dividends)

通常、米国株式の配当には 30% の源泉徴収税がかかる。しかし、日本居住者が W-8BEN を提出し、日米租税条約の適用を受けると、10% に軽減。

・利子(Interest)

米国債や預金利子など、利子所得については、租税条約により 源泉徴収免除(0%) となるケースが多い。

・キャピタルゲイン(譲渡益)

米国株式などを売却した利益については、原則として米国では課税されない。つまり、米国では非課税で、日本でのみ課税される形になります。


ケースごとの注意点

ただし、いずれのケースでも、個別のケースで取り扱いが変わってくることがありますので、専門家に確認したほうが安心です。特に、キャピタルゲイン(譲渡益)については、どの主体が売却をしたのか…によって取り扱いが変わることもあります。


日本での課税と確定申告

なお、W-8BEN を提出することで、米国での源泉徴収税率は日米租税条約に基づいて軽減されますが、これはあくまで「米国での課税」の話であり、日本に居住している方は 日本の税法に基づいて申告・納税が必要となります。

是非、日本の税理士にご相談なさってみてください。


まとめ

・W-8BEN は 日米租税条約による軽減税率の適用 を受けるための重要な書類

・所得の種類ごとに適用が異なる

・日本に居住している場合は、米国での税率軽減に加えて 日本での確定申告が必要なケースも


(ご参考)

W-8BEN の用紙は、米国歳入庁(IRS)の公式サイトからダウンロードできます(英語)。

👉 Form W-8BEN (IRS公式ページ)(PDFファイル)

※最新の様式や記入方法は必ず公式ページでご確認ください。

※金融機関から所定の書式を提供される場合もあります。


(笹山)

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2024年4月22日月曜日

海外遺産の額が分からない・・・

最後の記事からかなり間が空いてしまいました。2024年も4月後半。時の過ぎるのは速いですね。さて、今回は『海外遺産の額が分からない・・・』というタイトルの記事です。

前提として、海外遺産の額はどうやったら分かるの?ということですが、海外の遺産の額は、Statement(ステートメント)と呼ばれる、海外の金融機関が定期的に発行する書類によって確認することができます。

◆Statementとは

Statementといっても何かを陳述した書類のことではありません。Statementとは、日本語でいうと、『残高明細書』というような意味合いのものです。外国の金融機関では、定期的にその金融機関で保有している資産の残高をStatementとして報告してくれます。

Cashの場合は、預金の種類(普通預金か定期預金かなど)や、株式の場合には、どの銘柄の株式をどのくらい保有しているか、というようなことが記載されています。

Statementの取り寄せについては、ご自身が生存の場合でも、金融機関の合併などで口座番号(Account number)が変わってしまっていたりするケースでは、難しくなる場合があります。

◆相続の場合のStatementの取り寄せ

Statementが取り寄せられないケースとして一番多いのは、ご相続の場合です。故人様が米国など海外の金融機関にご資産をお持ちの場合、Statementが全く保管されておらず、金融機関に資産があるのは分かっているが、どのくらいの額を保有しているのかが分からない場合があります。

米国側、日本側の相続税の税務申告の際にも、税理士・会計士から死亡時のStatementを要求されるけれども、当事務所にご依頼のお客様でも、Statementが無く困ってしまうケースがチラホラあります。

Statementが無いのは困ったことで、まず、どのくらいの資産があるか分からない場合に、その資産の相続手続にどの程度の費用をかけてもよいかの判断がつかないことになります。(想像より遺産の額が少なかった場合は、費用のほうがかかってしまい、そのまま放置しておけばよかった、というようなことがあり得ます。)

海外の金融機関からの取り寄せは、その金融機関によりますが、相続人であるというだけで、すんなり提供してくださる金融機関もある一方で、昔ながらの伝統的で厳格な金融機関の場合だと、相続人であることの証明をきちんとしないと提供してくださらないところもあります。

◆Statementで困らないために

では、将来、ご自身や、ご自身の相続人がStatementが無い、ということで困らないためには、以下のような対策を講じておく必要がありそうです。

①紙で持っているStatementは、廃棄しないで紙のままとっておく。

現在ペーパーレス化が進んでおり、スキャンしたり写真データとして保管しておきたくなるところではありますが、依然として、手続にはStatement原本を求められるようなケースもありますので、紙のまま保管しておくことをお勧めします。

②口座番号、ログイン、パスワード情報などを確実に保管しておく。

海外の金融機関にネットでアクセスができるようであれば、オンラインでStatementを取り寄せたり、ご資産の内容を確認することもできます。場合によっては、死後に相続人がそのオンラインバンキングにアクセスして、残高を確認できることがあります。

そのためには、口座番号やログイン・パスワード情報を、他人には知られないように、しかし、知っておいてほしい人だけには分かるように、確実に保管しておく必要があります。

紙に書いて保管しておくなどの他、現在は、いざという時のために、パスワードを管理できるアプリもあるようです。

個人的には、日本語が通じる日本国内の金融機関のご資産であれば、アカウントやパスワードが分からないということがあっても、なんとかできるようなイメージはありますが、こと海外の資産においては、窓口にはすぐ行けない、法律は違うという、口座の中身を調べるだけなのに、大変な困難を極めるケースもありますので、ご自身が納得のいく方法で、是非、パスワードなどの情報は、承継人へ引き継げるよう、準備なさっておくとよいと思います。

(笹山)

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2023年8月30日水曜日

アメリカの相続と日本の相続の違い(2)法制度の違い

アメリカの相続と日本の相続の違い(2)法制度の違い


日本は、大陸法系の国です。世界には、大陸法(シビル・ロー)系の国と、英米法(コモン・ロー)系の国があり、日本は前者に属しています。

アメリカの相続では、法制度がそもそも異なることもあり、金融機関の担当者等との相互理解が難しいことが、ままあります。

◎大陸法(シビル・ロー):ローマ法が起源(日本、ドイツ、フランス等)

◎英米法(コモン・ロー):イギリスが起源(アメリカ、イギリス等)


そのうえ、アメリカは連邦制を採用しているので、それぞれの州ごとに独立した法律があります。弁護士についても、その州の資格を持っている弁護士ではないと裁判所での手続が難しいことがあります。アメリカに在住の弁護士なら誰にでも手続きをお願いできるわけでもありません。

---

世界の相続制度は、包括承継主義と管理清算主義にも分けることができます。管理清算主義では、裁判所の関与が必要となるため時間や必要がかかります。

◎包括承継主義:相続開始とともに、亡くなった方の財産・債務が相続人に承継される(日本、ドイツ、イタリア等)

◎管理清算主義:相続が開始すると、亡くなった方の遺産はEstate(エステート※不動産ではありません)という遺産財団となり、裁判所が選任する遺言執行者や遺産管理人がその相続債務を清算し、残った財産を相続人に分配する(アメリカ、イギリス、オーストラリア、香港、シンガポール等)

(笹山)


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2023年1月1日日曜日

2023年 年頭のご挨拶

2023年を無事に迎えることができました。本年もどうぞ宜しくお願いいたします。新しい年が、皆さんにとって素晴らしい年となることを、心より祈念いたします。


当事務所では、昨年に引き続き以下の目標を念頭に掲げて業務を行っていきます。


① 「依頼してよかった」と思われる事務所になる。

② 小さくても堅実に。やりがいと収益力がある事務所を作る。

③ 働く人の私生活や幸せも大切にする。


そして、上記を達成するために、具体的には、

  • ソフト面では、ホスピタリティの精神、業務スキルの向上・研鑽
  • ハード面では、安心、かつ、利用しやすい事務所にするための環境整備
  • 価格面では、適正な料金体系

を追求し、アップデートしていきたいと思います。


また、多くの方に当事務所のサービスを知っていただくための施策も考えていきたいところです。

本年も、どうぞ宜しくお願いいたします。




(笹山)


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2022年12月6日火曜日

年末年始休業のご案内

お客様各位


日頃よりご愛顧いただき、ありがとうございます。

2022年も年末が近づいてまいりました。弊所の年末年始休業のご案内です。


【年末年始休業期間】

2022年12月26日(月)~ 2023年1月9日(月)


ご契約を完了されているお客様のみ、上記休業期間中のご連絡にも対応しております。

(※12/29-1/3は完全休業となりますのでご容赦ください。)


なお、現在、ご依頼数が取扱可能上限に達したため新規のご相談受付を停止しております。

新規のご相談受付開始は2023年1月中旬以降を予定しております。

ご不便をおかけいたしますが、どうぞ宜しくお願い致します。

(笹山)



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2022年10月7日金曜日

渉外相続についての記事(月刊日本行政2022年10月号No.599より)

最近届いた日本行政(日本行政書士会連合会が発行している機関紙)の中に、『渉外相続について』というスペシャルトピックがありました。私が知る限りですが、日本行政の話題で渉外(外国が関係する)相続についての話題は、今まで見たことがなかったので、今回は興味深く拝見しました。(※日本行政でのトピック筆者は元新宿公証役場公証人志田博文先生です。)

■何が「渉外相続」なのか

  • 外国人の相続
  • 日本人が外国に財産を有している場合の相続
  • 在日外国人が日本でする遺言

などが挙がっています。海外が関係する相続・遺言に関する問題というところでしょうか。

■「渉外相続」の難しさ

国際裁判管轄や準拠法の確定(法律問題)、関連する登記や税務の問題、様々な問題が生じます。確かに、日本の中のみで完結するご相続の件よりも、検討・調整事項が多く感じます。

■「渉外遺言」について

日本に滞在する外国人は、日本に住所を有するだけでなく、旅行等で一時的に日本に滞在している場合であっても日本法の規定する「方式」の遺言をすることができるそうです。遺言の方式以外の要件については、遺言者の本国法によることになることに注意が必要です。

■包括相続主義と清算主義

◎包括相続主義…被相続人の死亡により全ての相続財産が相続人に直接移転される。日本を含め大陸法系諸国で採用。

◎清算主義…被相続人の死亡により、原則として、相続財産は裁判所により選任される代表者にいったん帰属し、裁判所の関与のもと、人格代表者による管理・清算を経て、その後、なお残余の積極財産がある場合のみ、相続人への相続財産の分配・移転が認められる、というものです。(消極財産、つまり債務がある場合は、遺産の限度においてのみ債務を弁済する責任を負うということになるようです。)

この他にも、連結点・反致に関することなどの記述があり、拝読させていただきました。

以上、日本行政の記事のご紹介でした。

(笹山)

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