最後の記事からかなり間が空いてしまいました。2024年も4月後半。時の過ぎるのは速いですね。さて、今回は『海外遺産の額が分からない・・・』というタイトルの記事です。
◆Statementとは
Statementといっても何かを陳述した書類のことではありません。Statementとは、日本語でいうと、『残高明細書』というような意味合いのものです。外国の金融機関では、定期的にその金融機関で保有している資産の残高をStatementとして報告してくれます。
Cashの場合は、預金の種類(普通預金か定期預金かなど)や、株式の場合には、どの銘柄の株式をどのくらい保有しているか、というようなことが記載されています。
Statementの取り寄せについては、ご自身が生存の場合でも、金融機関の合併などで口座番号(Account number)が変わってしまっていたりするケースでは、難しくなる場合があります。
◆相続の場合のStatementの取り寄せ
Statementが取り寄せられないケースとして一番多いのは、ご相続の場合です。故人様が米国など海外の金融機関にご資産をお持ちの場合、Statementが全く保管されておらず、金融機関に資産があるのは分かっているが、どのくらいの額を保有しているのかが分からない場合があります。
米国側、日本側の相続税の税務申告の際にも、税理士・会計士から死亡時のStatementを要求されるけれども、当事務所にご依頼のお客様でも、Statementが無く困ってしまうケースがチラホラあります。
Statementが無いのは困ったことで、まず、どのくらいの資産があるか分からない場合に、その資産の相続手続にどの程度の費用をかけてもよいかの判断がつかないことになります。(想像より遺産の額が少なかった場合は、費用のほうがかかってしまい、そのまま放置しておけばよかった、というようなことがあり得ます。)
海外の金融機関からの取り寄せは、その金融機関によりますが、相続人であるというだけで、すんなり提供してくださる金融機関もある一方で、昔ながらの伝統的で厳格な金融機関の場合だと、相続人であることの証明をきちんとしないと提供してくださらないところもあります。
◆Statementで困らないために
では、将来、ご自身や、ご自身の相続人がStatementが無い、ということで困らないためには、以下のような対策を講じておく必要がありそうです。
①紙で持っているStatementは、廃棄しないで紙のままとっておく。
現在ペーパーレス化が進んでおり、スキャンしたり写真データとして保管しておきたくなるところではありますが、依然として、手続にはStatement原本を求められるようなケースもありますので、紙のまま保管しておくことをお勧めします。
②口座番号、ログイン、パスワード情報などを確実に保管しておく。
海外の金融機関にネットでアクセスができるようであれば、オンラインでStatementを取り寄せたり、ご資産の内容を確認することもできます。場合によっては、死後に相続人がそのオンラインバンキングにアクセスして、残高を確認できることがあります。
そのためには、口座番号やログイン・パスワード情報を、他人には知られないように、しかし、知っておいてほしい人だけには分かるように、確実に保管しておく必要があります。
紙に書いて保管しておくなどの他、現在は、いざという時のために、パスワードを管理できるアプリもあるようです。
個人的には、日本語が通じる日本国内の金融機関のご資産であれば、アカウントやパスワードが分からないということがあっても、なんとかできるようなイメージはありますが、こと海外の資産においては、窓口にはすぐ行けない、法律は違うという、口座の中身を調べるだけなのに、大変な困難を極めるケースもありますので、ご自身が納得のいく方法で、是非、パスワードなどの情報は、承継人へ引き継げるよう、準備なさっておくとよいと思います。
(笹山)
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金融機関のパスワード管理の他、ご自身のSNSやサブスクなどのアカウント情報も管理承継できるサービスです。従業員の福利厚生にも利用可能とのこと。
個人的には外資系の企業でストックオプションなど自社株を報酬で与えるような会社には福利厚生でこのようなサービスを導入してほしいものです。残されたご家族が日本法人に問い合わせても、結局、米国等の海外金融機関へ直接問い合わせてくれ、となるケースが多く、遺族はとても困っています。
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