2020年6月28日日曜日

国際ロマンス詐欺にご注意を

海外の遺産相続を手伝ってください、という国際ロマンス詐欺?


2020年6月11日か12日頃、夕刊の一面に何気なく視線を向けたところ、「国際ロマンス詐欺」という見出しが目に入りました。その内容は、以下のリンク先の記事のようなものでした。

神戸新聞(※私が見た新聞は、神戸新聞ではありませんが…便宜上、リンクを引用させていただきました。)

国際ロマンス…ではありませんが、海外相続を持ち出すメール詐欺というと、海外から突然メールがきて、「我が国の身分の高い方がお亡くなりになって、遺産を何億も残している。その受け取りを手伝えば、遺産の一部をあなたにも分け与える」とか、
「あなたの姓(名字)は、亡くなった資産家が生前に指定した姓であり、あなたに多額の資産を相続させたいので、コンタクト先を教えてほしい…」とかいうものがあります。

よくもまあ、こんなストーリーを思いつくなあと思いますし、もし本当にそんなことがあったら凄いなと思いますが、100%詐欺です。多くの方々がそうしているように、一切関知せず、見てしまった場合は、ただちに削除しましょう。


普通の海外の相続手続と違い、違和感を感じるところ


例えば、海外の相続で困っている恋人(外国人)から、「相続に関して海外の裁判所や公的な機関で手続が進んでいて、その手続のために実費が必要だから、送金してほしい」といわれ、それが1度きりではなく、何度か送金してほしいという要求があった、というような場合。

まず、海外の裁判所で相続の手続が進んでいる場合…一般的には、何らかの弁護士事務所等の法律事務所が、依頼人(相続人)から委任を受けて手続をしているはずです。ですから、まずはその弁護士事務所はどこにあって、担当弁護士は誰か、が気になります。

ただ、「弁護士事務所はここで、担当はXXXXで、ライセンスカードはこれです」というように、至極まっとうにみえる返信があったとしても、安心はできません。

なぜなら、そのような書類は簡単に偽造できるからです。手にとって原本をまじまじと見るならまだしも、オンライン上では、本物かどうか見分けることは非常に難しいでしょう。

また、弁護士が本物かどうか、ということより、私がもっと違和感を感じる点は、相続の手続の途中で、実費が必要になったから、ということで複数回にわたり送金を求める、というところです。ゼロとは言い切れませんが、たびたび送金が必要となること自体が、海外の相続手続では考えにくい、ということです。

なぜなら、そういった費用は、必要となった都度相続人から支払いを求めるというよりは、最終的に遺産から精算する方法がとられるからです。私の経験上、ヨーロッパ、アジア、アメリカ、オセアニア、どの国の弁護士も、もちろん、日本も、専門家報酬や費用は、遺産が解約されたら、その時点で精算し、経費清算後の遺産の額を相続人宛に送金する、という方法をとるからです。

もちろん、最初に弁護士事務所に手続をお願いするときに着手金として1回送金するというのは十分にあり得ますが、その後も何回もたびたび送金が必要となるというケースは、考えにくいというのが正直なところです。

というわけで、恋人が、相続手続で、たびたび送金を求めるというのは、考えにくいですし、そのうえ、遺産相続という話になると、その性質上、金額も多額になりがちです。どんなに心を惹かれている相手であったとしても、金銭を送金してほしいという要求については、一旦立ち止まって、落ち着いて考えていただくのがよいと思います。

例えば、SNSを介してお付き合いを初めて、数か月も経たないうちに、海外の遺産相続の話がでてくるという場合。人の生死は分からないものですから、そのようなケースもあるのかもしれない、とは思います。しかし、金銭を送金してほしいという要求については、とにかく冷静に考えていただく必要があるのではないかと思います。
上述のように、通常、相続手続の「途中」で、たびたび相続人から支払いが必要となるというケースは稀(というか、ほぼ無い)だからです。

お困りのときは、早急に国民生活センター、警察などへのご相談をおすすめします。

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